ヨガで怪我しないために解剖学を学びましょうって、よく言われますが、ほんとかな?
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例えば「Hot&cold」と書いてあるシャワーを思い浮かべて下さい。誰に教わらなくても、ちょうどいい温度に調節するのは簡単ですよね。ちょこっと蛇口をひねり、熱ければ水を増やし、冷たければお湯を増やすという、単純な微調整で出来ちゃいます。
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20世紀最大の知性と呼ばれるレヴィ=ストロースは、そのような、事前の計画や設計図によらず、ありあわせのもので、何とかやっちゃう能力のことを「野生の思考」と呼びました。
それって当たり前に思えるけど、科学で対処しようとすると、とたんに立ちすくんじゃうんです。
「水温は?毎分何リットルのお湯が出る?蛇口を回す速度は?」と膨大な量のデータがないと計算できないから。アワワワ・・・😲
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野生の思考の強みは、科学では立ちすくむようなブラックボックスを前にした時に発揮されます。例えば、僕たちは解剖学を知らなくても、どんなアーサナであっても、カラダからのフィードバックに耳を傾け、ちいさな微調整を重ねると、最初はうまく出来なくても、何とかできちゃうわけです。
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ここで大切なことは「小さな微調整」・「slow」・「フィードバックに耳を澄ます」の3つです。
シャワーの温度調節も、いきなり大きく蛇口をひねると火傷するけど、小さな微調整を・ゆっくり・フィードバックに耳を澄ませながら行えば、そんなに失敗しないように、ヨガも同じです。
むしろ僕は解剖学より、野生の思考の方が断然大切だと思っています。
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科学と野生の思考、レヴィ=ストロースはそのどちらかが優れているのではなく並列の関係であることを強く述べています。一見科学の方が優位に思われがちだけど、そうじゃない。
学んでないからとか、エビデンスがないからとかいうことで、立ちすくむしかなかった部分にも、野生の思考のおかげで僕たちはそろりそろり踏み込めるのです。
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そして、僕が解剖学を伝えているのは、カラダを思い通りにコントロールするためではなく、解剖学という地図があると、カラダからのフィードバックをより繊細に受け取れるからなんです。
そんなことに興味のある方ご参加をお待ちしています。